189. 新型コロナ 第6波は来るか(2022年1月号)

新型コロナ第5波は何とか乗り越えた。緊急事態宣言は解除され、人出が多くなり、飲食店でも時間制限や酒類の提供制限も緩和され、活気が戻ってきた。喜ばしいことである。

かつては第5波が最大のピークを迎えたときには、コロナ感染者が入院できず、自宅待機中に重症化し、死亡する事件もおきた。医療崩壊が起きたことになる。しかし今は「コロナ感染病棟」での入院患者は激減し、せっかく作った感染病棟も閑古鳥が鳴いているという話を聞いた。政府は有識者会議(新型コロナ感染症対策分科会)でワクチン・検査パッケージ制度(ワクチン接種終了証明書)を活用し、夜間飲食店での酒類提供も許可し、人数制限なしとする方針を打ち出した。一段と解放が進んだことになる。

しかし一方、世界を見ると、またコロナ感染が増えてきた国もある。アフリカ、アメリカ、イギリス、トルコ、ロシア、インド、韓国、ヨーロッパ、ベトナム(2021.10.10,WHO)などのある特定の地域で、再び患者数の増加があった。国全体ではコロナ患者は減少傾向にあるものの、ある都市、地域に限定した増加がみられ、町を封鎖する「ロックダウン」を行うところも出てきた(オーストリア、今年11月19日)。そしてワクチン接種を義務付ける方針を決定したので、住民との軋轢、反対デモが起きた。このような政府の強硬路線と住民が反対デモを起こすなど、日本ではあまり想像がつかない。日本国民は穏やかな安定した生活を好む人種であり、その点日本は世界中で最も住みやすい国であると私は思う。

以上まとめると今や日本はコロナ感染に対して、一番安全な国になった。きわめて喜ばしいことである。そして今だからこそ、次に再度第6波が来た時を想像して、新たな対策を「5段階レベル」に分類し、対応することを決めた。

新たな政府分科会案では、都道府県ごとの感染者状況を判断して、感染者がいない状況を維持できている「レベル0」から一般医療を大きく制限しても新型コロナの医療に対応できない「レベル4」までを5つの段階に分けて、それぞれの求められる対策を示している。

「レベル1」はワクチン接種をさらに進め、マスクや消毒など基本的な検査体制の充実をはかるレベルで、現在がそれに該当しており、そしてこれからも少なくともこのレベルにとどめておきたいと考える。「レベル2」は患者の増加傾向が見られ、病床の数を増やすことが必要な「警戒を強化すべきレベル」で、「レベル3」は一般医療を相当数、制限しなければコロナ対応ができない「対策を強化すべきレベル」で、最も深刻な「レベル4」は一般医療を大きく制限しても新型コロナ医療に対応できない「避けるべきレベル」としている。

第6波が来るかどうかは、私にはわからないが、少なくともコロナが完全にこの世からなくなり、コロナ絶滅宣言ができるようになるともおもえない。おそらく世界のどこかにコロナウイルスがくすぶっており、時折再発する地域が出てくる、ウイズ・コロナの時代に入るとおもわれる。

(追記:原稿締め切り後に新たなニュースが飛び込んできた。新たな変異株オミクロンがアフリカで猛威を振るい、ついに日本にも上陸した。しかし日本はいち早く外国からの入国を全面禁止し、過去の経験から防衛が整ったので、第6波になることはないだろうと思う)

「成人期てんかんの特色」大沼 悌一

(この記事は波の会東京都支部のご許可を得て掲載しているものです。無断転載はお断りいたします。)