190. 新型コロナ オミクロンと社会経済、社会不安(2022年3月号)

新型コロナウイルス、オミクロン株の第6波がやってきた。最初南アフリカで発症したが、すぐにヨーロッパ、アメリカなどに波及し、やや遅れて日本にも入ってきた。その後まもなく日本全国にひろまった。これで注意すべきコロナ変異株はアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、オミクロンの5つになった。そのほかにも懸念される株としてミュー株が南米で見つかっている。


このオミクロン株はどういうわけか、特に感染(伝染)力が強く、瞬く間に全世界に広まった。家族内接触を調べると、デルタ株は約10%の率で家族内感染を起こすが、オミクロン株は31%―45%であったという。そして10歳以下の若年者にも感染するので、今やこの株は世界の主流になりつつある。そして最近の日本での感染者は2万7000人と過去最大となった(2022.1.18現在)。しかしこのオミクロン株は他の株に比べ、重症化しないことが指摘されており、入院するリスクが3分の2低下しているとの報告(デンマーク)があり、この点、安心してよいという救いがある。


新型コロナ感染は、もう2年以上にわたり、全世界を巻き込んでいるので、社会経済に及ぼす影響も大きいものがある。昨年、日本でのオリンピックは無観客となり、今年の北京オリンピックも無観客になると予測されている。そして今(2022.1.18現在)、まん延防止措置が13都道府県から出されており、酒類の提供と営業時間の短縮が1月21より2月13日まで行われるようです。そのほかエッセンシャルワーカー(医療従事者、バス・列車などの交通従事者)の負担、その他多くの人の雇用、就労、旅行、外食の制限があり、日本の経済は綱渡り的な危機を迎え、膨大な借金を将来に抱えていくことになる。


それからもう一つ、重要なことがとして社会不安が膨れ上がってきている。感染に対する不安、恐怖、ストレス、それに偏見と差別、混乱が人の心に重くのしかかっている。 

 
例えば仮に医療従事者の自分が感染したら、どう対応すればいいのか。周りの同僚・職員、およびたくさんの患者さんに多大な迷惑をかけることになり、したがって感染を防ぐため3密を避け、換気、手洗い、マスク、フェースガードの使用と常に細心の注意が必要になる。


さらに多くの人々で、外出を避けるなどの社会活動の制限、経済的打撃、家族内の不和などでストレスがたまり、うつ病やまた暴力、虐待が生じうる。ネットやSNS、テレビ番組などで情報が不安を掻き立てられている。


そして最近、人心が荒廃し物騒な傷害事件も多くなってきた。列車内で包丁を振り回し人に危害を与えた男、横浜のクリニックで放火し多数の死者を出した事件、大学入学共通テストで受験生を切り付けた事件など、コロナと直接関係はないだろうが、社会不安が高まっている証拠とおもわれる。このような不安に対してどう対処したらいいのだろうか。


コロナに関しての不安は誰にでも起こるストレス反応だ。ストレスをため込まず、できるだけ普段と同じ生活スタイルを保つことが大切である。

「成人期てんかんの特色」大沼 悌一

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