188. 新型コロナ変異株と今後の課題。追加ワクチン接種(ワクチンブースター)は必要か(2021年11月号)

コロナ感染はようやく徐々に収まりつつある。喜ばしいことである。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最大ピーク、第5波も収まりつつあり、緊急事態宣言、まん延防止対策もつい先日解除となった。しかし過去の成績をまとめると本邦では患者数計170万人、死者1万7千人に達したという(2021.10.30NHKまとめ)。また世界では2億3462万人が罹患し、死者は479万人となったという(ジョンホプキンス。大学、2021.10)。それでもようやく減少に傾きつつある。これもコロナワクチンが広くいき渡ったためだろう。

インフルエンザウイルスは王冠に似ているのでコロナと呼ばれているが、常に分裂を繰り返して数を増やしている。その途中で王冠の一部が偶然に新しい形に変化して新株ができる。すべての生物もこのようにして形を変えて進化していく。環境に適した強い新株は生き残るがほとんどの新株は環境に適合できず死んでいく。これが進化であり、人間もまたこのようにして進化してきた。

コロナウイルスも初めのころは単なるインフルエンザウイルスで、風邪を引き起こすに過ぎなかったが、ある日突然変異が起こり、生き残った新株が猛威を振るうようになった。最初に現れた新株は2002年のSARS(サーズで、重症急性呼吸器症候群)であった。コウモリを媒介して人に感染する病気で中国江東省から始まったが世界的に流行はしなかった。次に来たのが2012年のMERS(マーズ、中東呼吸器症候群)でアラビア半島と韓国、イギリスなどで発生した。そして最後に来たのが2019年12月に今の新型コロナSARS-COV2新型コロナ感染症である。中国から発症して瞬く間に全世界に広まった。そしてここ2年で新型株はその種類も増えた。アルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株である。勢いの強い株が生き残り、日本では今デルタ株が中心である。

コロナワクチンの有効性は証明されている。ワクチンはファイザー製、モデルな製、アストラゼネカ製があるが、いずれの薬剤でも有効率は70—95%であったという。しかしその有効率は時間とともに減少する傾向にあって、したがって第3回目の追加ワクチン接種(ブースター接種)が必要であろう(2021.9.17厚労省承認)。

新型コロナ感染者の後遺症も明らかとなってきた。罹患者の多くが外傷後ストレス症候群に似た神経・精神的後遺症に苦しむことになった。最近の報告では、頭痛、疲れ、めまい、嗅覚障害、味覚障害、食欲不振、筋肉痛などが頻回にみられ、慢性疲労、体の痛み、うつ症状、睡眠障害、さらには認知症も見られるようになった。中には自殺も増えたという報告がある。

このようにして人間とウイルスとの命を懸けた戦いは、今後も続きそうだ。しかし人間は英知というものがあり、知恵を絞って乗り越えていくだろう。

最後に、コロナ騒ぎで国の予算は破産寸前、消費税など上がるのだろうか。コロナがようやく落ち着いた現在、税金を上げずに経済発展を遂げてほしい。 

「成人期てんかんの特色」大沼 悌一

(この記事は波の会東京都支部のご許可を得て掲載しているものです。無断転載はお断りいたします。)

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