73.治りやすいてんかん「特発性全般てんかん」(2009年4月号)

これまでにてんかんの分類について述べてきた。発作が脳の一部から起こるか、あるいは脳全体が最初から興奮するかによって、全般てんかんと、部分てんかんとに分けられる。

一方発作の原因として、脳の傷害(キズ)があるかないかによっても分けられる。傷害(キズ)がないてんかんを特発性てんかんと呼び、傷害(キズ)があるのを症候性てんかんと呼ぶ。かようにして特発性で全般てんかん、特発性で部分てんかん、症候性で全般てんかん、症候性で部分てんかんの四つのてんかん群が出来上がる。この4群はそれぞれ治りやすさが大いに違うので、自分はどのタイプに属するか知っておく必要がある。この4群のどこに入るかは発作症状と脳波から判断する。もちろんすぐには判断しがたい例もあり、経過を見ていくうちに特発性だと思っていたのが症候性だったり、全般てんかんだと思っていたのが部分てんかんだったりすることもある。

前回は特発性部分てんかんについて述べた。これは4-5歳ごろから発症する子供のてんかんであり、小学校を卒業するころまでには治ってしまうので成人では見られない。

今回は特発性全般てんかんについて述べる。このてんかんも大変治り易いタイプのてんかんである。特発性なので脳に傷害(キズ)はない。したがって知的にも障害がなく、発達も正常である。全般てんかんであるので、発作の様相に左右差はなく、体全体を巻き込む発作である。多くは成人になるまでに治ってしまう。そして薬も必要なくなることが多い。

このてんかんには次の3群がある。

(1)小児欠神てんかん、(2)若年ミオクロニーてんかん、(3)覚醒時大発作てんかんである。

(1)小児欠神てんかんは数秒間の非常に短い意識消失のみの発作を持つてんかんである。発症年齢は4-5歳ごろから10歳ぐらいまでの小学生で、発作症状は急にボーッとして、動きがとまるだけで終わる。よく見ていないと気がつかないほどの一瞬の発作である。ただ発作の頻度はやたらと多い。毎日数回から数10回に及ぶ。

(2) 若年ミオクロニーてんかんは、思春期頃に発症するてんかんである。朝方覚醒直後に手足が一瞬ビクンとして電気にでもはじかれたように動くミオクロニー発作を持つ。持っていたものを落としたりすることがある。寝不足が発作を誘発する。

(3) 覚醒時大発作てんかんは思春期発症のてんかんで、文字通り多くは朝方、強直間代けいれんの大発作をおこす。不眠が発作を引き起こすので十分な睡眠が大切である。

以上の特発性全般てんかんは、発作を起こしやすい何らかの体質を持っていると解釈される。

発作は通常成人に達するとおさまるが、放置して発作を繰り返していると治るはずのてんかんも治りにくくなる。早くから治療し寝不足などの不規則な生活を避けることが重要である。

発作が徹夜した翌朝だけに限って起こり、従って十分な睡眠と規則的な生活をしていれば薬が必要でないとさえ思われるケースもある。

「成人期てんかんの特色」大沼 悌一

(この記事は波の会東京都支部のご許可を得て掲載しているものです。無断転載はお断りいたします。)

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