140.発作の裏にある脳の病気:その29 神経皮膚症候群の一つ、レックリングハウゼン病 (2014年11月号)

皮膚と神経が同時に侵される病気を神経皮膚症候群といい、この群に属する疾患として、これまで結節性硬化症、スタージ・ウエバーについて述べてきた。

今回はレックリングハウゼン病について述べよう。これは19世紀にこの病気を報告したドイツの学者、レックリングハウゼンに由来した病名です。

この病気の特徴は、皮膚に褐色の色素斑(しみ)があることと神経線維種と呼ばれる小さい腫瘍(いぼ)がたくさんできることです。

色素斑(しみ)はミルクコーヒーの色に似た褐色調、扁平で盛り上がりのない斑でその色からカフェオレ斑と呼ばれている。生まれた時からあるのが普通で、すべての患者さんに生じる。しかし健康な人でもこの種のシミはあるので、大人の場合では1.5cm以上のものが、子供の場合で0.5cm以上のものが6個以上あれば異常とされる。

神経線維腫(いぼ)は、皮膚や、皮膚より下の組織にできる良性腫瘍で、生まれたときにはなく、思春期頃から少しずつできてくる。同様に、神経線維腫の数にもかなりの個人差があり、数えきれないほどたくさんできる患者さんもいれば、数個しかできない患者さんもいる。

神経・精神の合併症は、比較的少なく、健康で普通の生活を送ることができる場合が多いが、時に眼(視神経膠種)、骨などに異常(脊柱・胸郭、四肢骨の変形、頭蓋骨・顔面骨の骨欠損)がみられることがある。学習障害も約50-70%にみられる。

原因遺伝子としては、常染色体17番の長腕にある遺伝子の異常があげられている。

この疾患の出現頻度は人口約3,000人に対して1人の割合で起こりかなり頻度が高いといえる。多くは常染色体優性遺伝で、患者さんの約半数は両親のどちらかがこの遺伝子を持っている。しかし残りの5半数は、両親ともにこの病気がなくて、突然変異で発症したと考えられる。

症例を示す。

40歳台の男 生来知的障害があった。5歳のころから発作がみられるようになった。発作には2種類あり、弱い場合は立ち上がってグルグルと左側に回り、ひきつったように笑う10秒ほどの短い「笑い発作」で、その頻度は月数回。強い発作は急に脱力し、尻餅をつき、左手のけいれんが20-30分続く。そして発作の後に一過性の左手麻痺を伴う。この頻度は年に数回で、難治に経過している。主に顔だが四肢にも5-10ミリ程度の神経線維腫(いぼ)が無数にみられ、顔、胸、背中にカフェオレといわれる色素斑(しみ)が多数みられる。

本症例はてんかん、知的障害をもつ「レックリングハウゼン病」で、一般にてんかん発作を合併する例は比較的少ない。本疾患は難病に指定されており、症状は1から5段階まで評価され、4以上に人は医療費の援助が出る。疑問があれば主治医に相談してください。

「成人期てんかんの特色」大沼 悌一

(この記事は波の会東京都支部のご許可を得て掲載しているものです。無断転載はお断りいたします。)