5.外来通院公費負担(32条)制度について (2003年8月号)

注:2006年4月をもってこの制度は廃止され、かわって障害者自立支援制度が開始されました。それにともない現在では、以下の文章とは補助の内容が変わっています。

前回は「てんかんという病名を隠すかどうか」について話しました。今回はこれに関連して、てんかんの通院医療費についてはお話しましょう。制度をうまく利用すれば、てんかんの外来通院費用は95%が保険および公費(国、都道府県)で負担してもらい、自己負担は5%で済む方法があるのです。そして収入が限られている人はこの5%も免除される可能性がある仕組みになっています。しかしこれは市役所に「てんかん」として診断書を提出しなければなりません。あなたはこの診断書を提出しますか?

てんかんの診断・治療にはCT、MRIなどの画像検査が必要ですし、また脳波検査や薬の血中濃度測定などの検査も定期的に必要になります。これらすべてを検査して、それに診察代、薬代を含めると、3割の自己負担としても負担額は少なくとも2万円はかかります。それが5%ですむとすれば、3000円見当ですみます。ずいぶん得だと思いませんか?

この制度は申告制なので居住区の市役所(障害福祉課)を通して申し込まなければなりません。この際、申請書と診断書が必要ですが、診断書には「てんかん」という病名が記載されます。この制度は昭和40年より整備されたもので、主に精神疾患に適応されてきました。したがって「てんかん」以外にも精神分裂病(現在の統合失調症)や躁うつ病などの精神科患者さんを対象にしたものです。「てんかん」という病名を記載しなければならないことと、もともと「精神疾患」を対象にしてきた制度ということで、多くのてんかん患者さんが本制度を利用することについて躊躇されます。

先日もこの制度について説明したところ、そのときは大変喜んでおられましたが、結局親や夫の反対にあって断念したような事例に遭遇しました。実は必要書類は多くの病院ですでに準備されており、要請があればその場ですぐに書くことが出来ます。必要な診断書は精神科医は熟知していますが、精神科以外の医師にとっては煩雑でこの制度を知らない医師も居られると思いますので、患者様のほうから申し出なければなりません。何年もこの制度を説明されず知らずに過ごした方もおられました。

この制度を利用する際の危惧、不利益はなんでしょうか。「知人が市役所にいて、病名が外にもれるおそれがあるからいやだ」という方々が多いようです。しかしその恐れはほとんどないでしょう。個人的な情報は厳密に管理されており、もしこれを洩らすことがあったら、その職員の責任が厳しく問われます。したがって心配せずに大いに利用すべきだと思います。

最近てんかんは精神疾患からは除外されるようになりました。国際的な精神障害診断マニュアルには「てんかん」という項目はありません。てんかんを扱う医師は、従来精神科医が多かったのですが、今は小児科、脳神経外科、神経内科など精神科以外の医師が多くなりました。しかし公的医療費補助はまだ精神障害の枠でカバーされており、これを権利と考え、大いに利用してほしいものです。

「成人期てんかんの特色」/大沼 悌一

(この記事は波の会東京都支部のご許可を得て掲載しているものです。無断転載はお断りいたします。)