96.てんかん最前線:小児てんかんの治療終結のガイドライン –日本てんかん学会の取り組み–  (2011年3月号)

日本てんかん学会は小児てんかん患者(中学生まで発症した18歳までのてんかん)について治療終結に関するガイドラインを作った。

どのようなてんかん患者が無事に治療を終了して、服薬をやめられるかという問題である。

てんかん患者さんにとって「発作が治って薬を飲む必要がなくなる」ことは最大の希望である。しかし現実は厳しい。確かにあるタイプのてんかん治りやすく、薬も必要がなくなる例があるのは事実である。しかし多くのてんかん患者は薬を飲まないと発作が再発する危険性が大きい。ガイドラインには次のような記載がある。

1.『小児てんかん全体では60―80%は5年以上発作が抑制される』とある。これは成人てんかんに比してかなりいい成績である。てんかんは小児期に発病することが多いが、また成人に比して治りやすいのも事実である。

2.『文献によると3年以上発作がない群で薬をやめた場合、その発作再発率は「特発性局在関連てんかん」では5%、「潜因性局在関連てんかん」では10%、「症候性局在関連てんかん」25%、小児欠神てんかん14%、若年ミオクリニーてんかん100%、West症候群21%であった』という。若年ミオクリニーてんかんは再発率が高いのは驚きである。

再発率はてんかん症候群によって大きく異なる。一番治りやすいのは「特発性局在関連てんかん」と呼ばれる一群である。これは別名「小児良性部分てんかん」といわれるもので、多くの場合3―6歳ごろ夜間睡眠中に限ってけいれん発作を起こす一群であり、睡眠時の脳波に中心・側頭部に発作波が出る特徴があるので診断は比較的簡単である。私の外来にもそのような患者さんがかなりいるが、中学に入るまでには躊躇なく服薬を中止している。再発もほとんどない。

「小児欠神てんかん」も治りやすい。欠神発作は一瞬意識を失うのみの発作で、まれにけいれん発作も合併することがある。これもなおりやすいタイプで、私も積極的に服薬中止している。

「症候性局在関連てんかん」は比較的治りにくい群ではあるが、それでもその再発率の25%は成人に比べればかなり低い。成人の場合のデータは今手元にないが、小児に比して成人ではもっと高いようである。

やはり小児のほうがてんかん発作は治りやすい。

結論として小児てんかんにおいて断薬の目安は「3年以上発作がないこと」、「脳に器質的病巣がないこと」があげられている。そして仮に再発したとすれば、それは断薬後1年以内に起こり、その際さらに2年間発作がなければ、もう一度断薬を試みてもよい。

積極的な断薬のすすめである。

「成人期てんかんの特色」大沼 悌一

(この記事は波の会東京都支部のご許可を得て掲載しているものです。無断転載はお断りいたします。)

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