151.新薬 レべチラセタム(イーケプラ)(2015年10月号)

近年矢継ぎ早に5種類の抗てんかん薬が認可された。ガバペンチン(ガバペン)、トピラマート(トピナ)、ラモトリギン(ラミクタール)、レベチラセタム(イーケプラ)、ルフィナマイド(イノベロン)である。前3者についてはすでに述べた。ここではイーケプラについて述べる。

この薬が日本で発売されたのは2010年7月なのでかれこれ5年たつ。最初は手探り状態で恐る恐る使っていたが、今では使用経験もかなり得られたので、良い点,悪い点もかなり分かってきた。その効果も優れているので、部分てんかんの第1選択薬になりつつある。しかし私の経験では、側頭葉てんかんについては、従来のカルバマゼピン(テグレトール)にとって代わるまでには至っていないと感じている。また他の新薬同様感情に影響を及ぼすことがあるので注意が必要である。

著効例を示そう。
症例1.初診時年齢49歳男
4歳時ひきつけひどかったらしいがその発作はない。大学卒 36歳の時、けいれん発作で倒れた。それ以来、大発作は年に数回あり、難治に経過している。
当院通院後最初の1年で4回倒れ、あごの骨を折った。その後、年に1回の発作は続いていた。バルプロ酸(デパケン), カルバマゼピン(テグレトール), ラモトリギン(ラミクタール、ガバペンチン(ガバペン)は無効、51歳時レベチラセタム(イーケプラ)を開始、1000㎎で発作1回あったが、その後2000㎎でここ4年間発作は完全に消失した。

レベチラセタムは症例によってはきわめて有効な抗てんかん薬ではあるが、また副作用も多い。最も多い副作用は、眠気である。これは少量でも起こりうるので、とても飲めないと拒否する患者さんもいる。また情動・感情にも影響を及ぼすことがあるので注意が必要である。うつ病が起こった症例を示そう。

症例2.初診時53歳女
16歳時に全身けいれんが始まった。その後年に1回程度のけいれん発作が続いた。前兆として不安感、恐怖感、言葉が出なくなる症状も月数回の頻度で見られた。54歳時にレベチラセタム250㎎より開始し、1500㎎まで増量したところでうつ症状が現れた。気分が暗く元気がなくなり、考えが後ろ向きになる。何もやる気がなくなった。家事をやるのもおっくう。自分でもおかしいと気づきはじめた。薬のせいではないかと疑い、1錠減らしたらかなり良くなったという。結局発作不変であったのでこの薬剤を減量中止したところ、うつ症状は消失した。イーケプラでうつ的になった。気持ちがアップ・アップし、イライラした。薬を増量したら症状が悪くなり、発作的に死にたくなったこともあったが中止したら元に戻った。もうこの薬は飲みたくないという。

厚生省は重大な副作用として「攻撃性、自殺企図、易刺激性、錯乱、焦燥、興奮」などを上げているがこのような症例はきわめて少なく、かつ発作抑制に大きな力を発揮するので良い薬剤である。しかしうつ症状には注意しなければならない。

「成人期てんかんの特色」大沼 悌一

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