新型コロナワクチンに関する考え方 第2版(4月5日改訂)

新型コロナ

新型コロナワクチンに関する考えかたを、2月にまとめましたが、その後の変化を含めて、改訂してまとめなおしました。(4月5日現在のまとめになります。)

日本でのワクチン接種の現状と副反応の報告

ワクチンの接種がなかなか広がりませんが、厚労省のまとめを見ると、2021年4月2日現在、日本で109万回を越える新型コロナワクチンが接種されています。
このうち副作用の報告がまとまっている3月19日まででみると、578,835回接種され、181件のアナフィラキシーが報告されています。単純に計算すると、10万人あたり31人ということになります。国際的な基準にあてはめると、うち47件がアナフィラキシーと評価されたということで、こちらで計算すると10万人あたり8人です。

いずれも軽快・回復しているということですが、やや気になる数字ではありますね。今後の動向を引き続いて見ていきたいと思います。

接種の実績について、詳細は厚労省のこちらのページをご覧ください。
新型コロナワクチンの接種実績|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

てんかんの一部が基礎疾患にはいることになりました

2020年12月厚生労働省からの発表では、優先接種の対象となる基礎疾患として13の疾患が記載されていました。その中に「重症心身障害」はありましたが、「てんかん」や「精神疾患」は挙げられていませんでした。

しかし2021年3月18日の会議で、新たに14番目の基礎疾患として、「重い精神疾患」が追加されることが決まりました。以下のように説明されています。

14.重い精神疾患(精神疾患の治療のため入院している、精神障害者保健福祉手帳を所持している、又は自立支援医療(精神 通院医療)で「重度かつ継続」に該当する場合)や知的障害(療育手帳を所持している場合)

厚生労働省

てんかんの方にこれをあてはめると、入院中の方、てんかんで精神障害者手帳あるいは療育手帳をお持ちの方、もしくは自立支援医療を使用されている方が、基礎疾患の対象になります。

詳細は厚労省のこちらのページをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192554_00007.html

今後また基礎疾患の変更や追加があるかもしれませんが、現時点では以上のようになります。

「ワクチンは打った方が良いのか」「自分はワクチンを打っても良いのか」について

現時点では、「てんかん発作がときどきあるけれど、それ以外の普段の体調は特に悪いところがなく、他の病気もない」という場合には、新型コロナに感染したときの重症化リスクは、一般の方と同じに考えて良いです。すなわちこれらの方では、ワクチン接種については一般の方と同じように、それぞれの体質(アレルギーやアナフィラキシーが過去にあったかどうか)・体調や、生活環境(家族の状況、仕事の内容ほか)を考えて、ワクチンの接種を判断することになります。

ただしどのワクチンでも同じですが、新型コロナワクチンも「過去にけいれんの既往のある方は接種要注意者(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)」として挙げられていますので、主治医と相談されてご判断されると良いです。

一方、ある種の原因によるてんかん(たとえば脳卒中後てんかん、脳炎後てんかん、自己免疫てんかんなど)では、その病状により重症化リスクが異なる場合があります。また、発作が毎日のように頻回に起こる、発作が群発あるいはてんかん重積になりやすい、重症心身障害を持っている、このような方では、やはり重症化リスクが異なります。これらの方では、主治医と良くご相談ください。またもちろん、併存症(合併症)として糖尿病、呼吸器疾患などの持病を抱えている方は、そちらの病状も考慮することになります。

基本的考え方は以上のようになります。
判断に迷われる場合には主治医と良くご相談ください。


より詳しいことを知りたい方のために、以下に、参考になる声明・解説を挙げておきます。

●てんかんを持つ患者さんと新型コロナウィルスワクチンに関する、国際抗てんかん連盟(ILAE)の声明(2021年2月3日)を、
日本てんかん学会が日本語に訳したもの(2021年2月8日・日本てんかん学会ホームページに掲載)。
重要なポイントが簡潔に書かれていますので、一度ご覧ください。

新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンとてんかんをもつ人 (日本語訳 原稿) // International League Against Epilepsy (ilae.org)

●新型コロナワクチンについては、日本感染症学会からの提言(2021年2月26日)
COVID-19ワクチンに関する提言(第2版) (kansensho.or.jp)
が詳しいです。

●アナフィラキシーについては、日本アレルギー学会の解説(2021年3月12日改訂)
JSA2021COVID-19ワクチン_アナウンスメント_210312改訂.pdf (jsaweb.jp)
が詳しいです。

以上、現時点でのまとめです。ご不明の点は、主治医と良くご相談されてください。

(加藤昌明)

2021年2月10日 第1版
                         4月 5日 第2版

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